妖怪捨て女

捨てることの素晴らしさに取り憑かれた私は


元々の完璧主義も災いし
いつしか、家の中に不要な物があることが許せなくなっていました


ゴミの日の朝には目覚ましをかけ
片手にゴミ袋を持ちながら
家中にある要らないものを探し歩きました


ドレッシングの包装を破り
まだ開けていないティッシュ箱のビニールを捨て
とにかく、少しでも捨てられるものがないか血眼で探すその姿を見て


家族が私につけたあだ名は


妖怪捨て女 


ひどいあだ名ですが
本当にそうだったかもと面白おかしく思いだします 笑



妖怪捨て女になって、毎日毎日要らないものを探す日々を過ごしているにも関わらず
捨てども捨てども大量の物が出てくる


次第に物があることが嫌になり
生活に必要なもの以外買う事もなくなってくる
物への執着がなくなるにつれて
ある種の虚無感のような物さえ感じるようになっていました 


そのころ読んだ片付けの記事に
虚無感は、ミニマリストによくあるという物がありました


私もそれに近い状態になっていたのだと思います


それで幸せを感じていればそれでもよかったのかもしれませんが
私は苦しさを感じていました


そして、ある日

そうか、私は自分の良いところではなくダメなところばかりを見つめていたのかと気付きました


中学の頃、初めての中間テストで495点を取ったことがあります
(今のすっとぼけた私からは全く想像つかないと言われています笑)

そのとき、なんと順位も学年で1番だったのですが
私は、それよりもなによりも
5点ミスした事をものすごく悔やみ、自分を責めました

あんなに頑張って、
その結果
495点も取れたのに

私はその頑張りを認めて
自分を褒めるよりも、
たった5点のミスに目を向ける学生でした



綺麗に片付いた部屋で
小さなプラスチックのパッケージを剥がす妖怪ゴミ女は
まさにこれと同じ精神


これではいつまでたっても幸せになれないし、楽にもなれない


そのことにようやく気付いた私は
要らないもの探すのをやめて

すでにある私を幸せにしてくれているものに目を向けてみることにしました